『レヴェナント:蘇りし者』を通じて理解した先住民と開拓民の植民地支配抗争について

『レヴェナント:蘇りし者』は2015年放映のアメリカ合衆国制作の映画である。ビッグなキャストと共に壮大なスケールで描かれるウエスタン伝記だ。ゲームの「レッド・デッド・リデンプション」の世界観を想像すれば、どのようなものかおおよその見当は付くかもしれない。
監督は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でゴールデングローブ賞にノミネートされたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、主演はレオナルド・デカプリオ、悪役にトム・ハーディ、音楽に坂本龍一などが関わっている。監督、主演共にこの作品でアカデミー賞初受賞を飾った。素晴らしきこの映画を是非とも語りたいと思う。

あらすじ

時代は1800年代前期、アメリカ開拓をし始めたイギリス人はその地に留まり作物を採ったり動物たちを狩り過ごしていた。そんな時、インディアン(場所によりインディオとも呼ぶ)の襲撃を受け、湿地帯に足を取られながらもなんとか逃げ延びる。銃を持ち、川を渡りながらもインディアンの襲撃に備える。船での逃走が頓挫し、山を越えるルートになった時、主人公の息子の一件を皮切りに様々な思いが交錯する事になる。

私的感想(ネタバレあり)

私はこの映画を観るまで、北西インディアン戦争について何の知識も持っていなかった。現代の戦争と言えば核兵器、銃火器、戦車、爆弾、戦闘機などが必要不可欠な道具として挙げられるが、1800年代では日本で言う火縄銃に連射機能が付いたようなものだ。先住民達はそれに十分対抗できたし、地の利もあり相手が少数だった場合や奇襲戦法を用いれば十分追い払えた。誰だって自分の土地を荒らすものがいれば、どんな道具を持っていようと果敢に戦うだろう。

ポイントは主人公とインディアンの間にできた息子だ。彼はインディアンの土地について詳しく、そちらの言語もこちらの言語も喋れる。かと言ってイギリス人の集団の中にハーフがいる事を、良く思わない人間が一人いる。ケチャップとマスタードの容器の間にマクドナルドで使われている小さなハーフがいるようなもので、その小包の気持ちを考えるとどうにも居心地の悪さというのは拭いきれないのかもしれない。ただ、主人公はその息子を愛していたし、インディアンの妻も息子を愛していた。嫌悪感を捨てきれなかったのはイギリス人の一人だ。息子が死ぬとともに、主人公は激高しそのイギリス人に復讐するため、極寒の川の中を生き延び、凍えながらも馬の死体(共に崖から落ちてしまった)の中で暖を取り、たった一つの銃を手に追い詰める。愛した者を殺され、インディアンとの和解のために動いていた主人公は、憎悪の復讐鬼と化す。