映画作品として大ヒットしたように見えても、次回作品がすぐには制作されないことが珍しくありません。日本映画ならば日本国内だけでのヒット具合で次回作品の基になる原作があれば、すぐにでも制作が立案されます。しかし、ハリウッド作品のように日本映画数十本分の制作費をかけて作られる大作については、日本国内でヒットしたかどうかは影響が少ないという現実です。
制作費が巨大だったからこそ、世界興行収入が目標額に到達しなければ次回作品がすぐに制作決定とはなりません。従来ならばそのまま立ち消えという状態だったにも関わらず、映画作品にスピンオフドラマを作ることにより次回作を制作するという熱量を生み出すことを狙えるわけです。
日本人であっても連想しやすいスピンオフ作品シリーズとして、ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズがあります。
ターミネーター2が大ヒットし、ターミネーター3が制作陣一新されて別方向に流れて以降、ターミネーター4公開が大きくコケた影響から次回作が作られることはありませんでした。ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズは、ターミネーター2のその後を描いたドラマであって次回作の可能性を探るために制作されたとも考えられています。実際に日本国内ではサラ・コナー・クロニクルズのブルーレイ版が売れ行き好調を推移した影響により、ターミネーター・新起動ジェニシスに繋がりました。
映画作品は公開から長い年月が経過して続編を制作することが難しく、映画はテレビドラマよりも撮影期間を長く要するために公開まで計画から数年かかることも珍しくありません。待ち時間を埋める役割をスピンオフ作品が担うことが出来たならば、次回作品のヒット予測が立ちやすくなるからこそスポンサーが多く集まるわけです。
日本映画とは異なりハリウッド映画は莫大な制作費が必要となるからこそ、世界興行収入予測を立てた上で計画的に制作しなければなりません。
興行会社が間に入ることにより、ビジネスとして成り立つかどうかを判断する指標にスピンオフ作品が使われているわけです。
ゾンビランド ダブルタップについて 前作のファンも納得の良質な続編
「ゾンビランド ダブルタップ」はゾンビ映画らしからぬ爽快感と、明るい作風で人気を博した前作「ゾンビランド」の10年越しの続編です。
監督は大ヒット作「ヴェノム」のルーベン・フライシャー、脚本を手掛けるのは「デッドプール」のレット・リースとポール・ワーニックのコンビ。
メインのキャストは「スリー・ビルボード」のウディ・ハレルソンを始め、ジェシー・アイゼンバーグ、アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーンなど。
前作以降ヒット作にも恵まれ、キャリアップしたスタッフ・キャストが再結集しました。
あらすじは、前作から10年後ホワイトハウスを拠点にし、家族のような生活を送っていた4人。
しかしある日タラハシーとの諍いから、リトルロックが仲間の元を離れてしまいます。
失踪したリトルロックを連れ戻すため、旅に出る仲間たち。
その道中には感染後年月を経て進化した強力なゾンビが待ち受けます。
もともと前作は続きがあるような終わり方をした作品ではありませんでした。
この10年の間にメインキャストがブレイクしたこともあり、続編は望めないものと思っていたのですが、再びあの4人の活躍が見られるとは。
前作から10年経ったとあってやはり外見の変化などはありますが、劇中でも実際と同じ10年が経過している設定であることもあって気にならないように作られているのも良いですね。
パンデミックから時間が経ち、進化したゾンビが登場する今作。
知能が高いゾンビや、頭を撃っても死なない異常にタフなゾンビなど、普通であったら驚異になる存在のはずなのですが、そこは持ち前の明るい作風で特に深刻な事態にもならないのはゾンビランドらしいですね。
スタイリッシュなアクションシーンは相変わらずで見ていて爽快感があります。
前作から時期が開いてしまった続編というと、スタッフもキャストも変わり、作品の雰囲気までも変わってしまったりといったこともありますが、そこは全く心配がいりませんでした。
前作の良さがそのまま引き継がれているような今作。
前作が好きだった人は間違いなく楽しめる、そんな続編になっていると思います。
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